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一般の保険にない「団体保険」の強みとは?
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自分自身や大切な財産に発生するさまざまな経済的なリスクに備えることのできるのが「保険」です。しかし、選ぼうとすると、保険会社も商品の数も多く、なにをどう考えればよいのか、戸惑うことも多いものです。
保険を選ぶとき、もしもお勤め先に「団体保険」の制度があるのであれば、ぜひ検討してみましょう。一般的な保険に加入するよりも保険料負担が抑えられるなど、多くのメリットがあるため、有力な選択肢となります。一般に加入する保険との違いとともに、「団体保険」の特徴や注意点についてお伝えします。
- コラムサマリ
★この記事は約5分で読めます。
・団体保険は会社の福利厚生のひとつ。家族も補償対象にできる。
・保険料が割安、給与から天引き…メリットいっぱいの団体保険の特徴
・加入前に知っておきたい団体保険3つの注意点。
ご加入にあたっては、必ず「重要事項説明書」をよくお読みください。
団体扱の対象となる方の範囲や団体扱特約失効時の取扱い、その他ご不明な点等につきましては、保険代理店までお問い合わせください。
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■団体保険とは?
多くの場合、団体保険は、会社の福利厚生のひとつとして利用されています。会社が保険会社と契約することにより、従業員やその家族が補償の対象として加入することのできる保険です。
保険契約には、(1)契約者、(2)被保険者、(3)保険金受取人といった登場人物が存在します。たとえば、自身のケガへのリスクが気になるAさんが傷害保険の加入を検討した場合、通常(1)(2)(3)ともにAさんですが、団体保険の場合には、(1)契約者は、個人(Aさん)ではなく、団体(会社)となります。(2)被保険者、(3)保険金受取人は、一般の保険と変わりません。
■団体保険のメリット
団体保険は、会社が窓口となって、募集や手続きを行います。本来、保険会社がすべき募集のための費用や事務手続きの一部を団体が担ってくれることで、保険会社の立場からすると経費が削減でき、サービスを厚くしたり保険料を安くすることができます。これは会社にとっても、福利厚生の充実となるため、従業員の満足度やモチベーションアップに期待ができます。
もちろん、従業員にとっても、他に比べ有利な条件で保険に加入できるなど、さまざまなメリットがあげられます。なお、補償の内容については、個人で保険会社や保険代理店などに申込み、加入する場合と大きな差はありません。
●保険料が割安
団体保険の大きな特徴であり強みとなるのは、負担する保険料が低く抑えられている点です。補償を手厚くしたい社員(被保険者)にとって、なによりのメリットです。
保険会社にとって経費が削減できること、一定以上の被保険者がいて、その保険金給付率が低ければ、特別の保険料率を適用できることなどから、独自の割引率が適用されます。会社から案内されるチラシなどの「○%割引」の表示は見逃さないようにしましょう。
●幅広く柔軟に補償を選択できる
配布されるパンフレットや冊子、公開されているWebサイトに掲載されているさまざまな補償を選び、加入することができます。
補償の種類(例)
- からだに関する補償:傷害補償、所得補償、医療補償、がん補償、介護補償など
- 賠償・財産・費用に関する補償:個人賠償責任、借家人賠償責任、携行品、弁護士費用等など
団体保険であれば、一般の個人向けでは申込みすることができない商品も含め、個別もしくはまとめて加入できるなど、幅広く柔軟に保険を選ぶことができるのも魅力のひとつです。
●支払いは給与からの天引き
保険料の支払いは、給与からの天引きとなるため、口座残高不足による支払遅延の不安がなく、給料日に別の口座への振替の手間も不要です。
●年末調整の生命保険料控除の手間が省ける
会社員の場合、毎月の給与から所得税などの税金が差し引かれますが、12月の給与でそれぞれの個別事情に配慮した調整(「年末調整」)を行います。個人で民間保険に加入している場合、その年に支払った保険料の金額を証明書類の添付とともに会社に申告する生命保険料控除を申請することで、所得控除を受けることができます。
結果として得税などの税負担が抑えられるのですが、年に1回の提出とはいえ、面倒くさい、よくわからないという声が多いのも事実です。
この点、団体保険の加入者であれば、保険料は会社で把握できているため、支払いを証明する書類を社員が用意する必要はなく、手間は少ないです。
■団体保険の注意点
メリットの多い団体保険ですが、注意すべき点もいくつかあります。確認しましょう。
●基本的に保険期間は1年間で自動更新
保険期間は基本的に1年間で、特に申出がなければ、同様の補償内容で自動更新されます。一般の保険であれば、申込日からの契約開始となりますが、団体保険の場合には、会社で募集期間や保険開始日が設定されているケースが多くあります。会社により中途加入ができる場合もありますが、新規で申込む場合には、申込みの締め切り期限に注意が必要です。
●転職や退職時は一括で払い込みが必要となることも
会社独自の福利厚生であるため、転職や退職により加入対象者でなくなった場合には脱退の手続きをすることになります。退職者(OB)として、更新を含めた加入を継続できる場合や保険期間中まで補償が継続する場合もありますが、これらは規定によるので確認が必要です。また、退職にあたって、未経過期間の保険料を一括で払い込む必要がある場合もあります。
●個人賠償責任保険の重複加入に気をつける
他人や他人の物に損害を与えてしまった場合の賠償責任に備えるため補償ですが、自宅の火災保険等にすでに特約として付加されている場合もあります。重複で補償されることはありませんので、保険料の無駄となってしまわないよう、加入には注意が必要です。
■まとめ
団体保険は、一部にデメリットがあるものの、保険料が安くなるなどメリットの大きな制度です。たとえ月単位の差額が数百円だったとしても、保険料の少ないことは長期的にみると大きなメリットとなります。会社に団体保険の制度があるなら、加入することを前提に考えてもよいのではないでしょうか。
団体保険の制度は、入社時のオリエンテーションや配布資料などで、福利厚生制度として説明されているはずです。せっかくの制度ですので、ぜひ利用したいものです。会社からの案内メールなどは、必ず目を通すよう心掛けたいものです。
新入社員の場合、預貯金など将来への備えはまだ少ないかもしれません。保険も活用し、少しずつでも着実に継続して備えをしていきましょう。自身のリスク管理をして、人生を楽しみつつ、経済的に自立した社会人を目指していきましょう。
この記事の執筆協力
- 執筆者名
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大竹麻佐子
- 執筆者プロフィール
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証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て独立。相談・執筆・講師活動を展開。ひとりでも多くの人に、お金と向き合うことで、より豊かに自分らしく生きてほしい。ファイナンシャルプランナー(CFP©)ほか、相続診断士、整理収納アドバイザーとして、知識だけでない、さまざまな観点からのアドバイスとサポートが好評。2児の母。ゆめプランニング URL:https://fp-yumeplan.com/
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