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【レポ】飲むのがツラい?痛い?若い女性でも受けたい「胃カメラ」「大腸カメラ」
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「行ったほうがいいのかな」と思いつつ、足が遠のいてしまう人間ドックや健康診断。とくに、胃カメラや大腸カメラは痛くてツラいイメージがあり、つい先伸ばしにしてしまう方も多いのではないでしょうか。本記事では、そんな胃カメラ&大腸カメラについて詳しく解説!検査によって把握できる病気や胃がん・大腸がんの初期症状、そして実際の検査の様子まで幅広くご紹介します。
- コラムサマリ
1. 若い女性も注意したい!AYA世代(15~39歳)にも増える「がん」
1-1. 進行が速く、20代でもかかる可能性のある「スキルス胃がん」
1-2. 進行スピードの速いがんにいち早く気付くには「検診」がマスト
2. 20年前の2倍以上!大腸がんを早期発見できる「大腸カメラ」
2-1. 大腸がんの初期症状
2-2. 大腸カメラってどんな検査?
3. 初期症状がないから怖い…胃がんを早期発見できる「胃カメラ」
3-1. 胃がんの初期症状
3-2. 胃カメラってどんな検査?
4. 【レポ】痛い?下剤は平気?20代で大腸カメラ&胃カメラを受けてみた
4-1. カメラ前日~当日はどう過ごす?食事や下剤の服用など
4-2.胃カメラと大腸カメラで食事制限に違いがある
4-3. いざ検査へ!眠っている間に終わってびっくり
5. ここをチェック!病院選びのポイント
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若い女性も注意したい!AYA世代(15~39歳)にも増える「がん」
「がんを心配するような年齢じゃないし…」「まさか自分がなるわけない」と思っている方も多いですが、最近ではAdolescent&Young Adult(思春期・若年成人)の人々、通称「AYA世代」のがん患者も増加しています。
進行が速く、20代でもかかる可能性のある「スキルス胃がん」
若い女性に多いがんと聞くと「子宮頸がん」や「乳がん」が思い浮かびますが、30歳代以降になると「大腸がん」や「胃がん」などの罹患率も高くなります。なかでも、20代のうちから注意したいのが「スキルス胃がん」です。
“スキルス(硬い腫瘍)”の名のとおり、スキルス胃がんは胃の壁がどんどんかたくなるのが特徴で、染み込むように範囲を広げるがんです。一般的な胃がんのように一部分に腫瘍ができるわけではないため、発見しづらいのが特徴。進行スピードも速いため、検査を受けていなかった数年の期間にほかの部位まで転移しているなんてケースも珍しくありません。その発見のしづらさから、ステージⅣで発見された場合の5年相対生存率は、通常の胃がんの<約7%>をさらに下回ると言われています。
一般的ながんの好発年齢が50歳代以降なのに対し、スキルス性胃がんは20代や30代の若い世代でも発症しやすいのが怖いところ。全体の約7割を女性が占めているとおり、男性よりも女性の発症率が圧倒的に高い病気です。
進行スピードの速いがんにいち早く気付くには「検診」がマスト
若い世代のがんには、「スキルス胃がん」のように進行スピードの早いがんが多いという特徴があります。「ちょっと血便が出ているけど痔かな」「胸やけや軽い不快感が続いているけど疲れているだけだろう」と、自己判断で様子を見ている間に症状がどんどん進行してしまう可能性も。たとえ症状がなくても、年齢に応じた頻度・周期で検診を受けるようにしましょう。
初期症状がないから怖い…胃がんを早期発見できる「胃カメラ」
先ほどご紹介したとおり、胃がんは若い世代でも十分かかる可能性があります。胃がんの恐ろしいところは、初期症状が出ないケースが多いこと。早期段階で自覚症状がないのはもちろん、がんがかなり進行している場合でも症状が出ない方もいます。自分では気付きづらいからこそ、定期的な「胃カメラ」の実施が必要なのです。
胃がんの初期症状
・食欲の低下
・胃のムカつき
・下痢
・体重の減少など
胃カメラってどんな検査?
体内にカメラが付いた内視鏡スコープを直接挿入して食道や胃、十二指腸という上部消化管の様子を確認します。多くの病院で、異常を発見した場合に病変の切除および組織の採取が可能。大腸カメラと同様、強い痛みを感じずに検査を受けられる静脈麻酔を導入している病院も多いです。
20年前の2倍以上!大腸がんを早期発見できる「大腸カメラ」
20年前と比べて患者数が2倍以上になっている「大腸がん」。食生活の欧米化やライフスタイルの変化が影響し、近年は女性のがんによる死因のトップになっています。
大腸がんの初期症状
・便に血が混じる(血便)
・赤または赤黒い便が出る、便の表面に血液が付着する
・下痢と便秘を繰り返す
・便が細くなる
・常に残便感がある
・おなかが張って苦しい
・腹痛
・貧血
・体重減少など
大腸がんの初期症状と聞くと出血や血便をイメージしますが、人によってはずいぶんとがんが進行してから出血することも。便秘・下痢や残便感、腹痛など、つい見過ごしてしまう症状も多いのです。
そんな大腸がんの早期発見に効果的なのが「大腸カメラ」です。大腸がんだけでなく、大腸ポリープや潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群なども発見できます。
大腸カメラってどんな検査?
カメラの付いた内視鏡スコープを肛門から挿入し、大腸や小腸を観察する検査です。検査中にポリープ(皮膚・粘膜などから突出した腫瘤)が発見された場合、そのまま切除・組織採取してもらえる病院も。近年は静脈麻酔を希望できる病院も多く、強い痛みを感じずに検査を受けられることも多いです。
検診の重要性は分かっていても、恐怖心や不安感が勝ってしまい避けてきた方も多い
【レポ】痛い?下剤は平気?20代で大腸カメラ&胃カメラを受けてみた
のではないでしょうか。そこで今回は、同じように検査に二の足を踏んでいた筆者が人生初の大腸カメラ&胃カメラを受けたときの様子を細かくレポート。「下剤を飲むのはキツイ?」「カメラ挿入は痛い?」など、気になるポイントを赤裸々にお話します。
カメラ前日~当日はどう過ごす?食事や下剤の服用など
大腸カメラと胃カメラを受けようと思ってはや数年。病院を調べては怖くなって延期を繰り返してきた筆者ですが、30歳になる前に一度は…とついに決意しました。
まずは検査前に一度受診をして、下剤の服用や前日~当日にかけての食事について説明を受けます。病院にもよりますが、下剤の服用は「院内(医師や看護師のチェックのもと確実に服用できる)」と「自宅(リラックスした空間でのんびり服用できる)」からどちらか好きなほうを選べます。私はすべて飲み切る自信がなかったため、院内服用を希望。検査の約2時間前に病院に向かい、下剤を飲むことになりました。
胃カメラと大腸カメラで食事制限に違いがある
食事制限には多少の違いがあり、胃カメラは検査前日夜まで好きな食事をとっていいのに対し、大腸カメラを受ける場合は検査3~4日前より食物繊維の多いものや油分の多いもの、消化に悪いもの、アルコールや香辛料の摂取は控える必要がありました。
本格的な制限がはじまるのは、前日の夕飯から。早い時間帯(19~20時まで)に済ませるだけでなく、おかゆやスープといった繊維や脂肪が少ない食事を選ばなければなりません。また、このタイミングから牛乳やジュース、コーヒーといった色の付いた飲料も摂取不可に。水や透明のスポーツドリンクのみ摂取できます。
検査当日は、大腸・胃カメラともに食事は摂れません。色のついた飲料水もカメラを見えづらくする原因になるので注意しましょう。
いざ検査へ!眠っている間に終わってびっくり
院内で液体の下剤(2L)を少しずつ飲みながら、腸内を空っぽにしていきます。予想以上につらかったのがこの時間。使用する下剤によりますが、1~2時間かけながら便が透明になるまで飲み続けなければなりません。一方で、意外だったのが「味」。いわゆる薬っぽい味を想像していましたが、梅フレーバーのジュースようにサッパリしていて飲みやすかったです。
無事に大腸と胃がからっぽになれば、いよいよ検査着に着替えてカメラを挿入します。胃カメラのみの場合は挿入箇所(のどや鼻の中)の痛みを局所的に和らげる「表面麻酔」も選べるとのことでしたが、今回は大腸カメラも受けるので「静脈麻酔(全身麻酔)」による鎮静下での検査をお願いしました。麻酔をする前はかなり緊張して体もこわばっていましたが、「1、2、3…」と数字を数えて数秒後には眠っていた様子。次に気付いたときには、ぼーっとした状態で検査終了の声を聞きました。
最後に検査結果を聞いたのですが、小さなポリープが1つ見つかっただけで大きな問題はなし。ポリープも切除できたようで一安心でした。院内での下剤服用から検査の結果を聞くまで、トータルで約3時間でした。
下剤の服用は大変でしたが、検査時は痛みもまったくなく眠っているだけ。率直な感想としては、「もっと早く受けておけばよかった」の一言に尽きました。
気になる検査費用は?
使用する麻酔の種類やオプションなどによって各医療機関で開きがありますが、一般的には胃カメラ(胃部内視鏡検査)は約1〜2万円程度、大腸カメラは1.5~3万円程度の自己負担額で検査できます。今回のようにポリープなどを切除した場合には追加費用が数万円発生するため、事前に聞いておくと安心です。
なお、今回のように「静脈麻酔」を使用した場合は、検査費用に麻酔剤の費用が加算されます。使用する麻酔剤によって差がありますが、自己負担額3割の保険が適用された場合は20円~160円程度です。静脈麻酔自体の負担額は少ないので、痛みに弱い方やはじめての内視鏡検査で不安がある方は選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
ここをチェック!病院選びのポイント
せっかく検査を受けるのであれば、しっかり診てもらえる病院を選びたいもの。最後に、胃カメラと大腸カメラを受けるときにチェックしたい「病院選びの8つのポイント」をご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね!
①受けたい検査項目や検査内容がある
②日本消化器内視鏡学会専門医が在籍している
③内視鏡を専門にしている、内視鏡検査の実績が多い
④大腸カメラと胃カメラを一緒に受けられる
⑤希望の場所(院内、自宅)で下剤を服用できる
⑥最新の高性能な内視鏡システムを導入している
⑦静脈麻酔に対応している(希望する場合)
⑧リカバリースペース、プライベートスペースが完備されている
内視鏡検査に限ったことではありませんが、検査にはリスクがつきものです。内視鏡検査では胃や腸管の出血や穿孔(孔があくこと)、腹痛などが生じるケースもあるため、病院を選ぶ際は医師や病院の検査実績について十分調べておきましょう。
また、麻酔の有無によって検査時の負担が大きく異なります。実際に関東圏にある30の病院の発表を平均した結果、麻酔を使った9割以上の患者が「まったく痛くなかった」と回答しているとのこと。痛みに弱い方や胃・大腸カメラがはじめての方は、麻酔を選択できる病院を選ぶと安心でしょう。
自覚症状が出づらい胃がんや大腸がんを早期発見するためには、胃カメラ&大腸カメラが欠かせません。内視鏡検査で異常がなかった場合は年に1度の便潜血検査を継続し、筆者のようにポリープが発見された場合にはポリープの大きさや状態に合わせて1~3年に1度のペースで内視鏡検査も受けるようにしましょう。
自覚症状の少ない初期段階で発見・治療できた場合、大腸がんの5年相対生存率は約88%、胃がんでは約97%となっています。いかに早期発見が重要であるかが分かりますね。
自分の体を守れるのは自分だけ——。若いから、忙しいから、怖いからと先延ばしにせず、20代のうちから検査を受ける習慣を身に付けておきましょう。
この記事の執筆協力
- 執筆者名
-
山本 杏奈
- 執筆者プロフィール
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金融機関勤務を経て、フリーライター/編集者に転身。現在は企業パンフレットや商業誌の執筆・編集、採用ページのブランディング、ウェブ媒体のディレクションなど、幅広く担当している。
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